第十条
特別審理官は、第七条第四項又は前条第五項の規定による引渡しを受けたときは、当該外国人に対し、速やかに口頭審理を行わなければならない。
2 特別審理官は、口頭審理を行つた場合には、口頭審理に関する記録を作成しなければならない。
3 当該外国人又はその者の出頭させる代理人は、口頭審理に当つて、証拠を提出し、及び証人を尋問することができる。
4 当該外国人は、特別審理官の許可を受けて、親族又は知人の一人を立ち会わせることができる。
5 特別審理官は、職権に基き、又は当該外国人の請求に基き、法務省令で定める手続により、証人の出頭を命じて、宣誓をさせ、証言を求めることができる。
6 特別審理官は、口頭審理に関し必要がある場合には、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる。
7 特別審理官は、口頭審理の結果、第七条第四項の規定による引渡しを受けた外国人が、第六条第三項各号のいずれにも該当しないと認定したときは、当該外国人に対し、速やかにその旨を知らせて、本邦からの退去を命ずるとともに、当該外国人が乗つてきた船舶等の長又はその船舶等を運航する運送業者にその旨を通知しなければならない。ただし、当該外国人が、特別審理官に対し、法務省令で定めるところにより、電磁的方式によつて個人識別情報を提供したときは、この限りでない。
8 特別審理官は、口頭審理の結果、当該外国人(第七条第四項の規定による引渡しを受けた外国人にあつては、第六条第三項各号のいずれかに該当すると認定した者又は特別審理官に対し法務省令で定めるところにより電磁的方式によつて個人識別情報を提供した者に限る。第十項において同じ。)が第七条第一項に規定する上陸のための条件に適合していると認定したときは、直ちにその者の旅券に上陸許可の証印をしなければならない。
9 前条第三項の規定は、前項の証印をする場合に準用する。
10 特別審理官は、口頭審理の結果、当該外国人が第七条第一項に規定する上陸のための条件に適合していないと認定したときは、その者に対し、速やかに理由を示してその旨を知らせるとともに、次条の規定により異議を申し出ることができる旨を知らせなければならない。
11 前項の通知を受けた場合において、当該外国人が同項の認定に服したときは、特別審理官は、その者に対し、異議を申し出ない旨を記載した文書に署名させ、本邦からの退去を命ずるとともに、当該外国人が乗つてきた船舶等の長又はその船舶等を運航する運送業者にその旨を通知しなければならない。
入管法第十条では口頭審理ついての規定がされています。
入管に関係する人として、入国審査官のほかに、特別審理官という人がいます。
入国審査官が空港で書類や適性をチェックする人とすると、特別審理官は取り調べ(言い方は悪いですが)を行う人と言えるかもしれません。
特別審理官は、第七条第四項又は前条第五項の規定により入国審査官から外国人を引き渡された時は、口頭審理をしなさいと定めています。
外国人を日本に上陸させないという判断は、非常に慎重に行う必要があります。
そのため、上陸の条件はしっかりと法律で決められておりますし、特別審査官の認定に対しても、外国人には異議を申し立てる権利が与えられています。
そのあたりが法律で決められていないと、危険なのです。例えば審査官の判断に全てを任せてしまうと、どうしても恣意的な条件やルールが生まれてしまいます。
さすがは法治国家と言いますか、日本人の殆どの人達が一生のうちに目にすることがない条文ではありますけれど、日本への上陸をしっかりと守っている方々のもとになっている条文ですので、通常の手続き上では参照することはありませんけれど、とても大事な法律だと思います。